過去の特集・情報

セメント新聞

[2023.12.4]

 

東大と名大、固定化CO2を定量評価

東京大学と名古屋大学の研究チームは11月24日、供用中のコンクリート構造物などが大気中から抽出して固定化したCO2を定量的に評価する方法を開発したと発表した。また、固定化したCO2によりコンクリート内で生成された炭酸カルシウムが、人工のものではなく自然起源であることを確認する手法も確立。これまでもセメント系材料は供用中や解体後に一定量の空気中のCO2を固定化すると考えられてきたが、今回の研究によりこれが初めて証明され、同時に定量的な評価やCO2が自然起源であることの確認も可能となった。これにより、コンクリート関連分野でのカーボンニュートラル(CN)への貢献を定量的に示すことが可能になると期待される。

 

10月の全国生コン需要は4・4%減

10月の全国生コンクリート出荷量(全生連調べ、員外社分推計含む)は648万9千㎥で、前年同月実績を4・4%下回った。14カ月連続のマイナス。このうち官公需は4・9%減の214万8千㎥、民需が4・1%減の434万1千㎥といずれも減少した。官公需の減少が31カ月連続と長期化しているなかで、需要も連続マイナスが5カ月に達するなど失速感が強まっており、10月は標準稼働日数が前年同月より1日多かったにも関わらず、全国的に荷動きが振るわなかった。官公需と民需の構成比は33・1対66・9。

 

JCBAが持続的発展へ中長期ビジョン発表

全国建築コンクリートブロック工業会(JCBA、栁澤佳雄会長)は11月17日、都内の主婦会館プラザエフで創立70周年記念式典を開催した。ブロック業界の持続的発展を目指すための「中長期ビジョン2024」を発表したほか、周年記念行事の一環として10月に行った「ブロック建築技能トライアル」の表彰式や長年JCBAの活動に貢献してきた功労者に対する感謝状贈呈、ブロック彫刻家の能勢考二郎氏による記念講演を実施。会員企業やブロック施工業者、エクステリア関連団体などから約100人が参加し、節目を祝った。

 

農業土木分野コンクリート製品

農業農村政策では、用排水施設の適切な維持管理とともに激甚化・頻発化する自然災害への備えや少子高齢化を踏まえたうえでの集落機能の維持も課題となっている。こうしたなか、農林水産省では工事現場の人材不足等に対応し、生産性の向上や工の期短縮、施工管理の負担軽減、安全性の向上を図るため、プレキャストコンクリート(PCa)製品の導入を促進しており、農業土木分野におけるPCa製品の役割の重要性は一層高まっている。本特集では、同省や各県の農業農村整備事業にかかわる直近の動向について、ご寄稿をいただくとともに農業農村の維持発展に貢献する各社の技術・工法・製品を紹介する。

 

フライアッシュ

世界的に脱炭素化の流れが加速するなか、CO2排出量が多いという点で石炭火力発電への風当たりが強まっている。しかし、近年では発電効率の向上やアンモニアの混焼などの技術革新が進められており、既存設備を活用しながら段階的に脱炭素化を目指す日本の技術に期待が寄せられている。脱炭素にむけ、石炭火力発電所の副産物であるフライアッシュ(FA)の有効利用にも注目が集まる。電力各社のFA普及に向けた取り組みや、活用事例、生コン工場における標準化事例を紹介する。

 

 

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[2023.11.27]

 

セメント国内販売は下期もマイナススタート

10月のセメント国内販売は前年同月比5・0%減の318万9千㌧で、14カ月連続のマイナスとなった。セメント協会の集計。11月は20日現在で10・0%の減少となっている。今年度上期の内需は常態化する建設現場の人手不足による着工遅れや工期の長期化、相次ぐ線状降水帯の発生に伴う大雨や台風に加えて、記録的な猛暑の影響も受けて低調に推移し、下期もマイナスでのスタートとなった。

 

東北・北陸で生コン市況上伸

生コン値上げの物価資料への反映が全国的に落ち着きつつあるなか、これまで反映がやや遅れていた東北地区や北陸地区における表示価格の上方修正が目立つ形となっている。『建設物価』(建設物価調査会)12月号(11月上旬調べ)の表示では、青森県の青森が1000円アップの1万6100円、岩手県の大船渡が2000円アップの1万8950円、富山県の富山が1500円アップの1万8800円、新潟県の糸魚川が1000円アップの2万1400円、石川県の七尾が2000円アップの1万9900円などとなった(いずれも18‐18‐20)。両地区以外では、香川県の高松で1900円アップの2万200円などの上方修正もあったものの、全国的には表示が変動した地点は少数だった。今後は、東北・北陸における表示のもう一段の上方修正が焦点となっていきそうだ。

 

製品メーカー8社の23年度上期決算、4社が増収確保

コンクリート製品企業8社の2023年4~9月期決算がまとまった。4社が増収営業増益または黒字転換となった。ベルテクスコーポレーションは減収だったものの営業増益で、原材料やエネルギー価格高騰に対する販売価格の転嫁は徐々に進みつつある模様だ。ただ、資材高騰などにより工事全体の進ちょくに遅れが発生するケースもあり、2社が営業赤字を計上するなど厳しい状況は続いている。

 

ヒューム管

ヒューム管は、1930年代に全国の主要都市で下水道事業が実施されたことを機に普及が進んだ。1973年には年間製造量が約412万㌧に達したが、事業の概成や他管材の採用などによりシェアが漸減。全国ヒューム管協会の調べでは2022年度の出荷量は前年度比13・0%減の13万5千㌧となっている。一方で、近年は局地的な豪雨による浸水被害を防ぐため、汚水処理より雨水貯留管としての用途の方が増えているほか、インフラ構造物の更新に合わせて地中に埋設する電気・通信のケーブル管やガス管、水道管のさや管としての需要が伸びている。求められる役割が変化するなか、業界はどう動いているのか、全国ヒューム管協会の中川喜久治会長にお話を伺った。

 

軟弱地盤改良

わが国では近年、豪雨など自然災害の激甚化がみられている。海外においても軟弱地盤や特殊度が存在し、深刻化傾向にある自然災害への対応が大きな課題となっている。対策には地盤の強化や安定が不可欠であり、液状化対策や地盤の安定対策、既存構造物の耐震補強技術など幅広い用途で利用されているセメント系固化材への期待が高まっている。今回、高橋英紀海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所地盤研究領域地盤改良研究グループ長にご寄稿いただくとともに、窪木康雄セメント協会セメント系固化材普及専門委員会委員長にセメント系固化材の需要や各種普及活動をお聞きした。あわせて軟弱地盤対策に貢献する地盤改良工法の事例を紹介する。

 

電気化学的防食工法

わが国では近年、豪雨など自然災害の激甚化がみられている。海外においても軟弱地盤や特殊度が存在し、深刻化傾向にある自然災害への対応が大きな課題となっている。対策には地盤の強化や安定が不可欠であり、液状化対策や地盤の安定対策、既存構造物の耐震補強技術など幅広い用途で利用されているセメント系固化材への期待が高まっている。今回、高橋英紀海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所地盤研究領域

 

 

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[2023.11.20]

 

セメント大手の23年度上期決算は損益が大幅改善

大手セメント会社の2023年4~9月期連結業績がこのほどまとまった。国内セメント部門はセメント内需や生コンクリート出荷量の低迷が続くなか、短期間で2度にわたるトータル5000円値上げの浸透の成果が表れる一方で、価格が急騰した時期に購入した高単価な石炭使用に伴う大幅なコストアップの影響が依然残っている。トクヤマは営業黒字転換し、太平洋セメントと住友大阪セメントは損益が改善したものの営業赤字だった。UBE三菱セメントはセメント事業全体で黒字化している。

 

東京、神奈川の10月出荷は2ケタ増

関東一区地区の主要生コン10協組の10月の出荷実績がこのほど出揃った。前年同月に比べて7協組が増加し、このうち6協組が二ケタ増となった。1都3県の中心協組の好調・復調が目立っており、東京地区が二ケタ増となったほか、低迷が長期化していた神奈川も2カ月連続の二ケタ増。埼玉中央のプラスは12カ月連続に達している。唯一、マイナスが続いているのが千葉中央で、今年5月以降はすべて二ケタ減だが、昨年度上期に発電施設関連の特需があった反動が大きく、実際には需要環境は悪くない。ただ、好調なエリアが増えてくることで、すでにひっ迫傾向が強まっていた同地区内の生コン輸送に大きな影響が出ることも懸念される。

 

パイル大手4社の23年度決算はすべて減収に

コンクリートパイル大手の2023年4~9月期決算がまとまった(トーヨーアサノは23年3~8月期)。業界全体の需要が足踏み状態にあるなかで4社すべてが減収となった。収益面では三谷セキサンとトーヨーアサノが増益、アジアパイルホールディングス(HD)と日本ヒュームが減益となり、明暗分かれる結果となっている。日本コンクリート工業はランサムウェア被害により決算作業が遅延しており、4~9月期決算の公表は来年1月になる見込みという。

 

近畿地区

近畿2府4県で構成する近畿地区の生コン需要は全国に比較して堅調に推移し、全生工組連調べの2023年度上期累計生コン出荷量(員外社推計含む)は前年同期比1・9%減の524万㎥である。一方、原材料の未曾有のコスト高をきっかけにした広域協組や協組の今年1月以降の値上げが浸透し各府県の中心地区における物価資料の生コン表示価格は2万円台中盤に上昇している。大阪広域生コンクリート協同組合(145社165工場)の木村貴洋理事長に方針を聞くとともに各府県の広域協組や協組、工組の取り組み、袋セメント卸や骨材業界、圧送業界を取り上げる。

 

旭コンクリート工業創立100周年

旭コンクリート工業は、1923年11月に創立して今年で100周年を迎えた。コンクリート製品業界のパイオニアとして、鉄筋コンクリート管のJIS認可取得や、プレストレストコンクリート製品の製造を手掛け、とくに主力製品のボックスカルバートは多くのメーカーに技術信託を行い、日本PCボックスカルバート製品協会の設立につながっている。同社は「コンクリート製品により、国土の保全と強靭化に寄与する」をミッションに、販売・生産の両部門が一体となって顧客の声に迅速・的確にこたえられる体制の構築を進め、メーカーとして技術へのこだわりを持って新製品・新工法の開発・実用化、既存製品・工法の品質向上などに取り組んでいる。本特集では狩野堅太郎社長に同社の強みと今後の戦略を伺うとともに、澤山勝専務と岸秀樹部長に管理面、技術面での課題と方針を聞き、次の100年を展望する。

 

 

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[2023.11.13]

 

23年度上期セメント需要部門別販売は生コン転化率1・4ポイント上昇

セメント協会集計の2023年度上期セメント国内販売は、前年同期比6・5%減の1738万7千㌧と減少した。このうち生コンクリート向けは全体の71・0%の1234万7千㌧(前年同期比4・6%減)、セメント製品向けは13・4%の233万7千㌧(8・9%減)となった。構成比は、前年同期と比べて生コン向けが1・4ポイント上がった。近年、鉄筋工や型枠工など建設現場の熟練技能者不足の影響や工期短縮の観点から、i-Construction推進の流れなどを受けて製品化率が徐々に高まり、ここ数年は14%程度で推移していた。今年度上期は製品向けが0・3ポイント下がり、2年連続で構成比が14%を下回った。建設現場向けは土木、建築とも大幅に減少している。

 

全生連が第33回全国理事長会議を開催

全生連(斎藤昇一会長)は9日、東京都中央区の鉄鋼会館で第33回全国理事長会議を開催した。今年度上期の計画事業の進ちょく状況について報告するとともに、総務、共同事業、技術、認定共同試験場、品質管理監査の常設5委員会とカーボンニュ―トラル対応検討特別委員会がそれぞれ、活動状況について報告した。

 

PC工学会がPCシンポジウム開催

プレストレストコンクリート工学会(PC工学会、下村匠会長)は10月26~27日、福島県郡山市の「ビッグパレットふくしま(福島県立産業交流館)」で第32回「PCの発展に関するシンポジウム」を開催した。2題の特別講演のほか、18セッション147編の発表が行われた。37企業・団体が最新技術をPRする技術展示のほか4年ぶりに懇親会も行われ、コロナ前の形式での開催となった。開会式では2021~22年にかけて日本人で初めて国際コンクリート連合(fib)の会長を務めた春日昭夫三井住友建設副社長に特別功労賞が授与された。

 

全国コンクリート製品協会

全国コンクリート製品協会(全コン、石川利勝会長)は1950年の発足以来、プレキャストコンクリート(PCa)製品の品質や技術の向上ならびに製品の普及・促進に努めている。近年、PCa製品は工場製品による品質確保をはじめ、工期短縮、省人化・省力化が図れることから、建設現場の生産性向上につながるものとして大きな期待が寄せられている。全コンは「コンクリート製品検定(コン検)」などにより広く一般にPCa製品に関する情報発信を行っているほか、外国人技能実習制度における「コンクリート製品製造」の評価試験実施機関でもあり、PCa製品業界に共通する課題解決に向けて積極的な活動を展開している。本特集では、石川利勝会長に協会活動の現状や課題についてインタビューするとともに、外国人技能実習評価試験の現状やコン検など主要な活動の概要を紹介する。

 

関東一区

コスト高を受けた転嫁値上げが続く生コン業界だが、生コンの製造・出荷に関わる諸コストはいまだ上昇傾向にあり、今後は「2024年問題」に絡む様々なコストアップにも対応を迫られることになる。一方、ここ数年は原材料や輸送、エネルギーなどのコストアップが注目されてきたが、今後は待遇や労働環境の改善、人員確保に向けた取り組みのためのコストのウエイトが高まっていくとみられる。人手不足が深刻化するなか、すでに多くの生コン工場が人員の補充に大きな困難を抱えているが、残業規制や週休二日制の導入が進めば、工場の必要人員数はさらに増えていく。人員の確保・定着のためには待遇や労働環境の改善が不可欠であり、これらに要するコストを価格転嫁していくことが、今後の生コン値上げの大きな課題となりそうだ。本特集では、全生工組連関東一区地区本部の斎藤昇一本部長に現状の課題と今後の展望についてお聞きするとともに、各地区主要生コン協組の動向などを紹介する。

 

 

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[2023.11.6]

 

生コン市況、1年半で3800~4000円上昇

全生連(斎藤昇一会長)はこのほど、物価資料(建設物価調査会『建設物価』並びに経済調査会『積算資料』)における、2022年6月号から23年11月号のおよそ1年半の期間の生コン表示価格の変動状況を調査した。両資料のすべての調査地点の価格変動を集計し、平均値を算出したところ、『建設物価』で㎥あたり4046円、『積算資料』で同3831円の上昇が確認された。

 

東関東生コン協組が来年4月から値上げ

東関東生コン協同組合(西森幸夫理事長)は10月26日に登録販売店会議を開き、来年4月1日以降の契約分から生コン㎥あたりの定価を2万1000円(18‐18‐20)にすると発表した。定価としては今年6月の価格改定時からさらに1200円引き上げる形となるが、「現状からの1200円アップ」ではなく、新定価の浸透を図っていく方針だ。関東一区では、価格改定にあたって上げ幅ではなく定価を重視する協組が増加しており、一部の地区ではこうした値上げ姿勢により、市況の引き上げだけでなく「建値と実勢価格のかい離」の縮小も進みつつある。

 

日本ヒューム開発アプリ、工事写真撮影アプリ認定

日本ヒュームはこのほど、同社が開発した電子黒板アプリケーション「ViMSys Camera(ヴィムシスカメラ)」が施工管理ソフトウェア産業協会(J‐COMSIA)の「信憑性確認(改ざん検知機能)検定」および「小黒板情報連携機能検定」に合格し、工事写真撮影アプリとして認定されたと発表した。同時開発した既製杭工事の統合管理システム「Pile‐ViMSys(パイルヴィムシス)」と連動することで、現場に行かずに施工管理項目の承認が行えるようになるほか、工事写真撮影の省人化につながることから、建設現場の省力化・生産性向上に貢献する。同社はヴィムシスカメラと連動したパイルヴィムシスの現場適用を進め、システムの改良を行いながら全国への普及に取り組んでいく方針だ。

 

生コン記念日

わが国で生コンが初めて製造・出荷されたのは1949年11月15日であり、全生連は創業の精神を忘れず原点に立ち返って将来を展望すべく、同日を「生コンクリート記念日」と制定している。生コン業界では2022年度以降、セメントの大幅値上げをはじめとする諸コストの急激な上昇を受け、ほぼすべての協同組合が転嫁値上げや再値上げに取り組み、調査会表示への反映が迅速化したこともあって、浸透状況は順調だ。しかしながら骨材、輸送、産廃処理費、人件費等の値上がりはとどまることなく継続しており、さらなる生コン値上げの必要性に迫られている。他方、今後もカーボンニュートラルやDX、JIS改正への対応など新たに取り組むべき課題も数多くあり、工業組合・協同組合による共同事業の重要性はますます高まっている。本特集では生コン記念日を機に、斎藤昇一全生連会長に生コン業界の課題や展望をお聞きするとともに、改正生コンJISの留意点などについて辻幸和群馬大学・前橋工科大学名誉教授にお聞きした。

 

 

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[2023.10.30]

 

今年度上期のセメント内需は6・5%減

2023年度上期のセメント国内需要(輸入見込み含む)は22年度上期実績に比べ6・5%減の1738万7千㌧となる見通しだ。セメント協会の集計。国内販売量も8月まで輸入実績がないため内需見込みと同様の6・5%減の1738万2千㌧。今年度は常態化する建設現場の人手不足による着工遅れや工期の長期化、相次ぐ線状降水帯の発生に伴う大雨や台風に加えて、記録的な猛暑の影響も受けた。10月は20日現在で1日当たり2・7%減である。生産量は10・8%減の2319万7千㌧、輸出は31・3%減の330万1千㌧。23年度内需は下期が前年度並みであれば3607万㌧、今年度上期並みの場合は3500万㌧を下回る3485万6千㌧まで落ち込むことになる。

 

23年度上期全国生コン出荷は5年連続で最低更新

2023年度上期(4~9月)の全国生コンクリート出荷量(全生連調べ)は3526万3千㎥で、前年同期を4・7%下回った。上期ベースでは6年連続のマイナスで、ピーク以降最低だった昨年度上期実績を下回り、5年続けて過去最低を更新した。官公需は7・9%減の1096万9千㎥で6年連続のマイナス。民需も3・2%減の2429万3千㎥で、3年ぶりにマイナスに転じた。官公需と民需の構成比は31・1対68・9。

 

PC建協が関東地整と意見交換

プレストレスト・コンクリート建設業協会(PC建協、森拓也会長)と国土交通省関東地方整備局は23日、さいたま市内で意見交換会を開いた。5月にPC建協が策定した新ビジョン「Vision2023(ニーゼロニーサン) 進化する技術と社会への貢献 PC建協の未来地図」の概要を説明したほか、プレキャスト(PCa)の活用による生産性向上の推進やPCaPC造建築の推進などについて活発に意見を交換した。

 

生コン輸送

生コン輸送業界は、ミキサー車ドライバーの高齢化や若手入職者の減少をはじめ、多くの問題を抱えながら生コンの安定納入に努めている。しかし、直近では円安やロシア・ウクライナ情勢の影響による軽油の高騰、新車価格や既存車両の維持更新費上昇などコスト増が相次ぐことに加え、物流の「2024年問題」に対応するため、ドライバーの待遇改善に動いている他業種へ人材が流出することも懸念されており、生コン輸送業界の課題解決を図るうえで適正運賃の確保は必達の目標となっている。本特集では、全日本トラック協会生コンクリート輸送部会の小島信也部会長、関東生コン輸送協会の山﨑睦彦会長、神奈川生コン輸送協会の妹尾洋会長(神奈川県トラック協会生コン輸送部会長兼任)にお話を伺い、業界の今後を展望する。

 

住友大阪セメント

住友大阪セメントは、新たに2023年度から25年度までの3年間を対象とする中期経営計画を策定した。新中計は中長期ビジョン「SOC Vision2035」を見据えて、バックキャストで策定している。具体的な戦略として「既存事業収益改善」に向けてセメント事業収益力回復、次世代光通信部品の市場シェア獲得による収益改善を図る。また「成長基盤構築」に向けて半導体製造装置向け電子材料事業へのリソース集中投入による規模拡大・収益力強化、海外事業拡大(豪州事業)、脱炭素分野の新規事業開発を行う。さらに「経営基盤強化」を図るため人材戦略をはじめ研究開発戦略、知財戦略、DX戦略を進めていく考えだ。一方、中計期間の3年間合計で1080億円(カーボンニュートラル投資170億円、成長投資・基盤整備410億円、維持更新500億円)の投資を実施する計画。本特集では、今年度から新中計をスタートさせた同社グループの現況と今後を展望する。

 

 

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[2023.10.23]

 

セ協不死原会長が斉藤国交大臣にCO舗装推進など要望

セメント協会(不死原正文会長)は18日、不死原会長が東京・霞が関の国土交通省を訪問し斉藤鉄夫国交大臣と面談した。不死原会長はセメント業界の窮状や循環型社会への貢献などを説明するとともに、「コンクリート舗装の推進に関する要望書」並びに「公共事業に係るお願い」と題した文書を手交し、補正予算における国土強靭化対策等への反映をはじめ、コンクリート舗装の推進を中心に要望した。セ協会長が国交大臣に直接要望するのは初めてとなる。

 

玉川生コン協組、旧契3000円値上げ浸透

玉川生コンクリート協同組合が昨年9月に打ち出した旧契3000円値上げが、対象とした全物件で満額浸透したもようだ。同協組は契約時の価格と現行価格とのかい離が大きい旧契物件のうち、公共工事やこれに準ずる公共性を有する工事約20件(約40万㎥)をピックアップし、需要家に対して10月1日以降の出荷分から㎥あたり3000円の価格の引き上げを要請していた。回答期限を今年8月10日まで区切り、それまでに回答が得られなかった物件については契約を解除することを予告。3000円値上げに応じた物件については、向こう13カ月にわたって同価格を維持することを確約する一方、解除後に再契約する物件には現行価格を適用するとしていた。この結果、9月までに出荷が完了した数件を除いて、対象物件のすべてで3000円値上げが受け入れられた。

 

23年度上期パイル出荷は全国的に不振

コンクリートパイル・ポール協会が集計した2023年度上期(4~9月)のコンクリートパイル出荷実績は、前年同期比32・3%減の94万4235㌧となった。ランサムウェア被害を受けた2社の実績を除いた数字であるため、大幅に減少しているが、2社の推計を含めた場合でも全国的に減少傾向にあると見られる。COPITAでは23年度の需要を252万㌧と予測しているが、先行き不透明な状況が続いている。

 

マンホール耐震化

2004年の新潟県中越地震では1400カ所以上のマンホール浮上が発生し、下水道機能が長期間麻痺した。東日本大震災や北海道胆振東部地震など、近年の大型地震でも液状化現象によるマンホールの被災事例が多数報告されている。緊急車両の通行を妨げ、早期復旧の遅れにつながるため、国土交通省は3月に改訂した「新下水道ビジョン加速戦略」においても「5か年加速化対策等による耐震化・耐水化等の集中的推進」を重点項目の一つとしている。本特集では下水道地震対策およびマンホール耐震化に向けた施策の進ちょくについて、東京都と千葉市からご寄稿をいただいた。また、プレキャストコンクリ―ト製品によりマンホールの浮上抑制や耐震化に寄与する各種工法・技術を紹介する。

 

PC技術

プレストレストコンクリート(PC)工学会は10月26~27日に第32回「PCの発展に関するシンポジウム」を開催する。今回のシンポジウムは福島県郡山市の「ビッグパレットふくしま(福島県産業交流館)」で、4年ぶりに懇親会も実施する。ワークショップや地元郡山市に関わる特別講演などのほか、18のセッションに分かれて研究発表が行われる。PC工学会では公益社団法人として、PC技術にかかわる規準作成に加えて公募研究、受託研究、特別研究に活発に取り組み、海外との技術交流を図っている。また、工学会の認定資格であるPC技士制度およびコンクリート構造診断士制度は技術者登録認定を受け、活用の広がりが期待されている。シンポジウム開催を機に工学会の活動内容を紹介するとともにPC技術の最新動向を探り、今後を展望する。

 

iコンストラクション

国土交通省は①ICTの全面的な活用(ICT土工)②全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化等)③施工時期の平準をトップランナー施策として建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指すi-Constructionを進めている。同省が設置した「コンクリート生産性向上協議会」(前川宏一会長)では中型・大型構造物へのプレキャスト(PCa)製品導入促進を目指し、分割せずにセミトレーラーやトレーラーなど特殊車両で運搬可能な規格は原則PCa化を進めるとともに、現場打ちとプレキャストの比較を行ううえで、価格以外の項目を取り入れて最大価値で評価するバリューフォーマネー(VfM)の概念の導入を検討している。本特集ではコンクリート生産性向上協議会の動向をはじめ、道路プレキャストコンクリート製品技術協会(RPCA)の審査制度の動きとともに、コンクリート製品団体・メーカーの取り組み・技術を紹介する。

 

 

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[2023.10.16]

 

セメント各社、統合報告書で中長期ビジョンなど示す

セメントメーカー各社はこのほど、2023年度の統合報告書を発行した。毎年、充実した内容となっており、持続的な成長を目指して将来の「ありたい姿」や中長期ビジョン、事業戦略などを明確に示している。近年は、2050年カーボンニュートラル実現に向けた具体的な取り組みを重点的にまとめるとともに、マテリアリティの特定やサステナビリティ経営の推進、人権の尊重について詳細に説明し、ステークホルダーに対する発信をより強化している。

 

関東一区の上期生コン出荷は微増

関東一区の主要生コン10協組の2023年度上期(4~9月)の出荷実績がこのほど出揃い、合計出荷量は前年同期を1・3%上回る463万8千㎥となった。前年同期に比べてプラスだったのは三多摩、湘南、東関東、埼玉中央、玉川、千葉西部の6協組で、このうち千葉西部を除く5協組が二ケタ増だった。半面、前年同期に堅調だった東京地区や千葉中央を含む4協組はマイナス。出荷が堅調な協組の多くは、物流倉庫が需要をけん引している。大規模倉庫の需要は、一時期に比べて減少傾向にあるものの、より小規模な施設の建設は今後も各地で続く見通しであるほか、古い倉庫の建て替え需要も出てきている。また、一部エリアでは、近年極端に低迷していた民間住宅需要がやや持ち直してきたとの声も聞かれる。

 

共和コンクリート工業、ダクタルで埋設型枠

共和コンクリート工業(北海道札幌市、本間丈士社長)が超高強度繊維補強コンクリート「ダクタル」によるプレキャスト(PCa)埋設型枠を製造・納入した工事がこのほど、国土交通省北海道開発局が実施する「北海道開発局i-Con奨励賞」を受賞した。同局室蘭開発建設部胆振農業事務所発注の「勇払東部直轄災害復旧事業」で、受注者は岩田地崎建設。PCa化により型枠工が不要となり、工期の大幅な短縮と施工人員の大幅な削減につながったことが評価された。

 

砕石フォーラム

日本砕石協会(才田善之会長)は10月17日、東京都品川区のきゅりあん(品川区立総合区民会館)で砕石フォーラム2023(第48回全国砕石技術大会〈東京〉)を開催する。会員間や関連業界との技術交流・発信を期した年次の業界最大イベント。特別講演、一般講演、賛助講演で合計19題を予定し、翌18日に見学会を実施する。久保晋典技術安全委員長(副会長、関西地方本部長、兵庫県支部長)に開催の抱負や、技術安全委員会の活動の方向性を聞いた。併せて講演概要、各地の支部(組合)活動、砕石関連の最新機器を紹介する。

 

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[2023.10.9]

 

セメント追加値上げが1年で完全浸透へ

セメントメーカー各社が2022年10月から実施した3000円の追加値上げから、1年が経過した。セメント市況は今春以降に着実に上昇し、今年度上期までにほぼ全国で完全浸透している。石炭価格の暴騰をはじめエネルギーコスト高や物流費の上昇等に伴う大幅なコストアップを受けて、多くの会社の国内セメント事業が2期連続赤字に陥る危機的状況のなか、22年春の前回値上げと合わせてトータル5000円の過去に例のない上げ幅だったが、歴史的な値上げの実現となった。今後は、事業環境の急激な変化に左右されず安定的に適正利潤を確保できるような価格政策の確立が課題だ。

 

生コン市況、4分の3が値上げ満額反映

全国の協同組合による生コン価格の二次改定の調査会表示への反映が進み、『建設物価』(建設物価調査会)および『積算資料』(経済調査会)の10月号(9月上旬調べ)では満額反映が二次改定を行った全協組(一次・二次を一括で値上げした協組も含む)の4分の3に達した(全生連調べ)。調査会表示への反映はピークを過ぎ、今後は落ち着いていくものとみられる。満額反映された調査地点をみると、『建設物価』が累計360地点、『積算資料』は同351地点でほぼ並ぶなど、両資料の調査結果も一致する度合いが高まってきた。

 

PC工学会がPCaPC橋規準を発刊

プレストレストコンクリート工学会(PC工学会)は2日、都内で「プレキャストPC橋技術規準」の発刊に伴う講習会を開いた。2005年に発刊された「外ケーブル構造・プレキャストセグメント工法設計施工規準」を発展的に改訂したもので、適用範囲をすべてのプレキャスト(PCa)PC橋の設計・施工・保全に拡大。初期の建設コストだけでなく工期短縮による社会的便益の増加や保全費の縮減効果などを含めたバリューフォーマネー(VfM)評価や持続可能性の観点からみたPCa化の効果にも着目しており、同規準を活用することでPCa工法の普及がさらに進み、PC橋構築における生産性向上につながることが期待される。

 

 

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[2023.10.2]

 

8月のセメント国内販売は8・5%減の270万㌧

8月のセメント国内販売は、前年同月比8・5%減の269万8千㌧で、12カ月連続のマイナスとなった。セメント協会の集計。9月は25日現在で1日当たり6・2%の減少である。内需は2019年度以降低調が続くとともに、とくに官需の落ち込みが目立つ。今年度は常態化する建設現場の人手不足等による工期の遅れや相次ぐ線状降水帯の発生に伴う大雨、台風の影響を受けて、4~8月累計の国内販売は前年同期比6・4%減となり、地区別では前年同期実績を上回っている地区がない。

 

8月の全国生コン需要は全10地区マイナス

8月の全国生コンクリート出荷量(全生連調べ、員外社分推計含む)は546万7千㎥で、前年同月実績を7・6%下回った。これによりマイナスは12カ月連続となった。建設現場における全国的な人手不足、複数の台風襲来とこれに伴う長雨などにより荷動きが停滞したことに加え、前年同月の生コン需要が比較的堅調だった反動もあって、大きなマイナス幅となっている。官民別では、官公需が170万4千㎥で10・6%減、民需が376万2千㎥で前年同月比6・1%減と、ともに減少。低迷が長期化する官公需は30カ月連続のマイナス。民需も3カ月連続のマイナスで失速感が強まっている。官公需と民需の構成比は31・2対68・8。

 

土木ブロック協会が技術講習会

全国土木コンクリートブロック協会は9月22日、都内で2023年度技術講習会を開いた。22年度に続いて対面での開催。国土交通省水管理・国土保全局防災課による災害復旧事業に関する講演をはじめ、新潟県土木部河川管理課の担当者が最近の災害復旧事例を紹介したほか、東京都立大学の上野敦准教授が最近のコンクリート技術について講演した。

 

石灰石骨材

石灰石骨材の全国出荷量は生コン需要の減少に対し、2022年度通期で前年度比1・7%増の2896万㌧、23年度第1四半期も4%減と堅調に推移する。大型物件での石灰石砕石(粗骨材)の指定が都市部周辺で定着し、石灰砕砂は主要な細骨材として西日本だけでなく全国的に普及しつつあり生コン用骨材での石灰石シェアは21%強に高まっている。石灰石の出荷用途をみてもセメント用や鉄鋼用の減少に比べて骨材の減少幅は小さい。セメント・鉱山・石灰各社は石灰石資源の長期安定確保を最優先に鉱山開発、他用途向けのバランスをみて骨材供給に努めており、骨材増産に向けた設備投資もみられる。主要各社の骨材の販売方針、生産・出荷動向を取り上げる。

 

土壌汚染処理

2010年の土壌汚染対策法改正以降、首都圏を中心に大深度地下を利用した工事が進められ、工事に伴い大量の自然由来土壌の発生が見込まれることから、行政は対応を検討。19年4月に土対法が改正施行された。本特集では土壌汚染処理企業が結集し業界の発展に向けた取り組みを進める日本汚染土壌処理業協会、ゼネコンや材料・機械メーカー、中間処理業者等で組織し建設汚泥のリサイクルを促進する泥土リサイクル協会の活動、今年度から新たな土壌汚染対策を展開する東京都環境局の取り組みを紹介する。

 

 

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[2023.9.25]

 

セメント業界、内需や輸出の記録的減少続く

セメント国内需要は2020年度に1966年度以来、54年ぶりに4000万㌧を割り込んだが、その後も漸減傾向に歯止めがかからず、記録的な低迷が続いている。23年度需要も現在の水準で推移すれば、セメント協会が公表した想定3800万㌧を大きく下回る3600万㌧台にまで落ち込む可能性がある。また、これまで内需の低迷を受けて調整弁として出荷を振り分けてきた輸出についても、22年度以降石炭価格高騰に伴う製造原価アップやフレート(船運賃)上昇により採算性が悪化したことからスポット向けを大幅に抑制した結果、大幅な減少が続く。

 

国交省、生コンなど取引適正化へ実態調査

国土交通省は2024年度に建設業法等の実効性の確保に向けて建築資材価格の高騰を踏まえた取引の適正化を目的とする実態調査を行う。さらに建設資材の再資源化の推進を目的とする調査を実施する。このほど発表した24年度予算概算要求に関連費用1億800万円を計上した。

 

コンクリートパイルの23年4~7月出荷は2割以上減

コンクリートパイルは2022年度出荷量が270万6千㌧と復調の兆しが見えていたが、23年度に入って足踏み状態となっている。4~7月の出荷は、民需が低調に推移しているうえに大型物件竣工の反動減などもあり、2割以上の大幅減となっている模様だ。出荷統計の調査を行っているコンクリートパイル・ポール協会(COPITA)の黒瀬晃会長は「工事の進ちょく遅延が目立つ」としており、24年4月の時間外労働上限規制適用を前に大手ゼネコンが受注を控える動きも見られると指摘する。

 

コンクリートパイル

コンクリートパイルの2022年度出荷は11・0%増の270万6千㌧となった。物流倉庫が引き続き堅調に推移するなかで工場や電力関係施設なども伸び、北海道・東北・中部・関西・中四国・九州の6地区でプラス、全体で2ケタの増加となっている。コンクリートパイル・ポール協会(COPITA)は、杭基礎の施工品質向上に関する社会的な要請を受けて、製品の品質向上と開発、設計・施工技術の向上・普及に取り組んでおり、「基礎ぐい工事業」の独立に向けた要望活動を行い、魅力ある業界として情報発信を図っている。本特集では、コンクリートパイル・ポール協会の活動のほか、主要各社の戦略・展望を紹介し、将来を展望する。

 

トクヤマ

トクヤマは2021年度から5年間の「中期経営計画2025」を進めている。現中計の重点課題として①事業ポートフォリオの転換②地球温暖化防止への貢献③CSR経営の推進を挙げ、セメント事業は事業目標に「エネルギー効率国内トップクラス」を掲げている。全社的にカーボンニュートラル対応が最重要課題のひとつであり、早期実現にはCO2排出量の多いセメント部門での削減対策も、製造コスト低減を含めて大きなカギを握る。また、セメント部門は短期間で2度の大幅な値上げを実施し、トータル5500円以上の完全浸透に向けて粘り強く交渉し、ほぼ満額獲得する見通しだ。一方、適正な生産体制構築を目的にキルン1系列停止の検討を開始した。本特集では、現中計の折り返し地点を迎えた同社の経営の現状と今後の展望についてセメント部門を中心に紹介する。

 

 

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[2023.9.18]

 

住友大阪セメント、ESCの生産能力増強

住友大阪セメントは15日、市川事業所(千葉県市川市)において半導体製造装置の主要部品で、新材料事業で取り扱うESC(静電チャック)の生産能力増強工事・新製造棟の建設に着工したと発表した。7月に着工し、2025年度に竣工予定で、総投資額は約120億円となっている。

 

生コン市況「㎥2万円超」時代へ

昨年10月以降のセメントの3000円値上げなど諸コストアップを受けた生コンの二次値上げが全国で成果をあげ、調査会表示に順次反映された結果、生コン価格(18‐18‐25(20))の表示が2万円以上となる地区が大幅に増加している。『建設物価』(建設物価調査会)9月号では、価格表示がある全339調査地点のうち、2万円以上の表示は164地点に上り、全体の48・4%と半数近くを占めるにいたっている。地区によるバラつきも大きいものの、㎥あたり2万円以上の生コンが当たり前という時代になってきた。

 

「aNET ZEROイニシアティブ」が脱炭素EXPOに出展

會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市、會澤祥弘社長)をはじめ全国のコンクリート製品メーカーで構成する「aNET ZEROイニシアティブ」は13~15日、幕張メッセで開催された日本最大級の脱炭素ソリューションの専門展示会「第3回脱炭素経営EXPO秋」にブースを出展した。自己治癒コンクリートや低炭素コンクリートといった最先端の脱炭素系素材を紹介するとともに、ブロックチェーン技術を用いてスコープ3ベースで炭素削減記録を管理する脱炭素経営プラットフォームをプレゼン。多くの来場者がブースを訪れ、コンクリートから建設業界のグリーントランスフォーメーション(GX)を推進する取り組みに注目が集まっていた。

 

太平洋セメント

太平洋セメントは、2020年代半ばをイメージした「ありたい姿・目指す方向性」として「グループの総合力を発揮し、環太平洋において社会に安全・安心を提供する企業集団を目指す」ことを掲げている。その実現に至るまでを3つのステップに分けて取り組み、最終の第3ステップとして21年度から「23(ニーサン)中期経営計画」を推進しており、同社グループすべての事業が総合的・複合的に機能し合う、同社にしかできない新たな事業モデルを構築し「圧倒的なリーディングカンパニー」となることを目指している。そのために①確固たる価格政策を持つこと②圧倒的なリーディング工場になること③多彩な事業、多方面の事業でリスク分散を図ること④将来を担う人材を育成することの4つに取り組むことにより、「強靭な企業体質」の実現を図る考えだ。今年度は23中計の最終年度であり、次期中計の策定に向けた大事な年となる。本特集では、太平洋セメントの経営の現状と今後の展望を紹介する。

 

 

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[2023.9.11]

 

UBE三菱セメント、熱エネ源にアンモニア

UBE三菱セメント(東京都千代田区、小山誠社長)は1日、山口県が公募した2023年度カーボンニュートラルコンビナート構築促進補助金において、同社とUBEが共同提案した「セメント製造プロセスにおけるアンモニア燃焼技術実証事業」が採択されたと発表した。実証事業は、セメント製造プロセスのCO2排出削減に向け、セメントキルン(焼成炉)および仮焼炉の熱エネルギー源にアンモニアを使用する燃焼試験。セメント製造プロセスの実機レベルのアンモニア混焼は世界初となる。事業期間は23~25年度の3年間。

 

関東一区の8月生コン需要は微増

関東一区地区の主要生コン10協組の8月の出荷実績がこのほど出揃った。前年同月に比べて5協組が増加し、このうち東関東、三多摩、湘南、埼玉中央の4協組が二ケタのプラスだった。半面、東京地区を含む5協組が減少し、このうち千葉中央、千葉北部の2協組が二ケタのマイナスとなった。10協組合計では前年同期を0・5%上回り、4~8月累計でも0・9%増とわずかながらプラスで推移している。

 

共和コンコンクリート工業、13分割でPCa曲点桝

共和コンクリート工業(北海道札幌市、本間丈士社長)はこのほど、北海道発注の農業排水路整備工事で13分割のプレキャスト(PCa)曲点桝を納入した。部材同士の縦・横の接合を機械式継手で行って施工効率を高めるとともに、型枠数を最小限に抑えることでコストを抑制。PCa化による急速施工で早期交通開放を実現した。北海道の農業土木関連工事では今後もPCa製品の活用が見込まれることから、同社は技術力を生かしたPCa化提案強化を図っていく方針だ。

 

ブロック系舗装

インターロッキング(IL)ブロックやコンクリート平板を用いたブロック系舗装は景観性や意匠性に優れるほか、遮熱性や保水性など多彩な機能を有している。近年では物理的・視覚的に車両の速度抑制効果があることから生活道路の交通安全対策として車道分野での活躍が期待されている。こうしたなか、インターロッキングブロック舗装技術協会(JIPEA)はILブロック舗装に対する社会的信頼と会員の技術力向上を目的として調査・研究活動を行うとともに、展開の拡大に向けたPRにも注力している。本特集ではJIPEAの三浦真紀会長や太平洋セメント舗装ブロック工業会の五十嵐明会長に活動状況についてお話を伺うほか、各社の舗装ブロック関連技術を紹介する。

 

 

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[2023.9.4]

 

セメント追加値上げ、9割超浸透

セメントメーカー各社が2022年10月出荷分から実施したトン当たり3000円の追加値上げが全国的に浸透している。22年春の2000円の価格改定とあわせて、短期間で2度にわたるトータル5000円の値上げという過去に例のない歴史的な値上げの実現となる。民間の調査機関の8月上旬調べ時点までに、全体の9割以上の調査地区で満額反映されている。石炭価格急騰や電力価格上昇、物流費アップなど大幅なコストアップを受けて、21~22年度にかけて二期連続で国内セメント事業が赤字となった会社が多かったが、下期以降に今年度内の赤字脱却が見えてきた。

 

7月の全国生コン出荷は11カ月連続減

7月の全国生コンクリート出荷量(全生連調べ、員外社分推計含む)は622万6千㎥で、前年同月実績を1・5%下回った。11カ月連続のマイナス。官民別では、民需が429万㎥で前年同月を0・2%下回り、2カ月連続のマイナスとなった。低迷が長期化する官公需に対し、ここ数年は民需が生コン出荷をけん引する形が続いてきたが、2月連続で減少するのは21年2月以来のこととなり、民需の鈍化が懸念される。官公需は193万5千㎥で4・2%減。28カ月連続のマイナスで、回復の兆しが見えない。官公需と民需の構成比は31・1対68・9。

 

藤林コンクリート工業、防災・減災開発製品で公開実験

藤林コンクリート工業(新潟県柏崎市、藤林功社長)は7月21日、同社岩手工場で防災・減災に資する開発製品の公開実験ならびに発表会を開いた。雨水貯留施設の流水実験や土留め擁壁用の組積ブロックの重錘衝突実験/静的加圧試験等を行った。同社が岩手工場で大規模なコンクリート製品の公開実験を行うのは今回が初。国土交通省や地方公共団体の技術職員に加え、セメントメーカーや建設会社、建設コンサルタント等から100人近くが参加し、実験の様子を見学した。

 

セメント輸送

セメント業界では、物流コストが大きなウエートを占めるため、その収益確保が大きな課題と言える。セメント国内需要は2019年度以降低迷が続いており、22年度は3728万㌧にまで落ち込んでいる。セメント各社は将来の需要動向を見据え、カーボンニュートラル(CN)対応やDX推進を図りながら最適物流体制の構築に向けて鋭意見直しを進めている。本特集では24年度からドライバーの時間外労働時間規制が厳格化されることに伴い、輸送力低下が懸念される「2024年問題」を間近に控え、安定供給の維持に努めるセメント業界の現状を紹介するとともに、密接な連携のもとでセメント業界の責務達成に向けて物流面で大きな役割を果たしている輸送業界の取り組みを紹介する。

 

 

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[2023.8.28]

 

7月のセメント国内販売は4・2%減の306万㌧

7月のセメント国内販売は、前年同月比4・2%減の305万6千㌧で、11カ月連続のマイナスとなった。梅雨前線による大雨の影響を受けた地区が多い。セメント協会の集計。8月は20日現在で1日当たり5・8%の減少である。内需は2019年度以降低調が続くとともに、官需の落ち込みが目立っている。23年度も4~7月累計で5・9%減と、依然として底這いが続いており、地区別で前年同期実績を上回っているのは沖縄のみとなっている。

 

東京の生コン市況、値上げ満額反映で1万9800円

建設物価調査会の『建設物価』9月号(8月上旬調べ)が「東京17区」の生コン価格表示を2000円引き上げ、㎥あたり1万9800円(18‐18‐25(20)、以下同)とした。東京地区生コンクリート協同組合が4月から取り組んでいた2000円値上げが満額反映された形だ。関東一区では同時に「横浜」も4500円引き上げられ、2万円表示となった。神奈川生コンクリート協同組合も4月から値上げに取り組んでおり、登録販売店と歩調を合わせた市況対策が効果を上げていたことに加え、このほど有力員外社が加入したことで市況形成力も高まった。表示は4月の上げ幅以上の上方修正で、関東一区地区内の主要エリアとしては初の2万円台をつけている。このほかにも全国的に生コン値上げの成果が表示に反映されており、仙台、広島なども上伸。一般に表示の改定に時間がかかる傾向がある大都市圏においても表示の上方修正が相次いでおり、今年度の生コン値上げの反映がピークに差し掛かっている状況だ。

 

ピーエス三菱、小田原技研をZEB化

ピーエス三菱は7月28日、小田原技術研究所のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化プロジェクトにおいて、研究棟のZEB化改修工事が完成したと発表した。断熱補強や開口部の二重窓化、設備機器の省エネ化のほか、建物屋上に太陽光パネルを設置して省エネ・創エネに取り組み、従来の25%以下までエネルギー消費量を低減するNearly ZEBを実現している。

 

NEXCO西日本リニューアルプロジェクト

NEXCO西日本は新名神高速道路など5つの新設事業約55㌔㍍をはじめ、4車線化・6車線化事業の166㌔㍍、スマートIC事業を推進しており、開通・完成目標に向け着実な推進を図っている。高速道路のリニューアルプロジェクト(特定更新等事業)では吹田JCT~中国池田IC間で1月17日~3月26日で全ての終日通行止めが完了。2020年6月より約16日間の終日通行止めによる試験工事を実施し、その後2021年5月より6回(約1・5カ月/回)にわたり本格的な取替工事を実施した。計7回延べ293日間にわたり行われた同区間の終日通行止めが必要な工事は終了した。引き続き、中国池田IC~神戸JCT間のリニューアル工事の進ちょくを図っていく方針だ。本特集では、NEXCO西日本のリニューアルプロジェクトの進ちょくや新技術活用の動向を紹介する。

 

 

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[2023.8.14]

 

太平洋セメント、デイ・シイ川崎工場を「CNモデル工場」に

太平洋セメントは7日、セメント産業におけるカーボンニュートラルを実現するため、デイ・シイ川崎工場(神奈川県川崎市)をモデルとした「カーボンニュートラルモデル工場」(CNモデル工場)の検討に着手したと発表した。同社は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、現在、各種技術の開発に取り組んでいる。このほど、実験機から実機実証レベルにスケールアップさせ、さらに各種技術を導入した「CNモデル工場」の構想を検討する段階であると判断し、デイ・シイ川崎工場をその対象にすることを決めた。

 

関東一区の7月生コン需要は物流需要が後押し好調

関東一区地区の主要生コン10協組の7月の出荷実績がこのほど出揃った。前年同月に比べて三多摩、湘南、千葉西部、玉川、東関東、千葉北部、埼玉中央の7協組が増加し、いずれも二ケタのプラスだった。10協組合計では前年同月比8・6%増。4月の低調もあって第1四半期は前年同期比横ばいで推移したが、広範囲で物流施設関連の需要が出ていること、東京地区でも秋口に向かって出荷が好転する気配であることなどから、第2四半期以降の復調が予想される。物流関係の需要については、2024年問題で危惧される人手不足に対し、物流業界では施設の増強で対応を図る動きもあるため、当面は活発な荷動きが続くと予想される。

 

下水道展2023に300社・団体がブース出展

日本下水道協会は1~4日、札幌ドームで「下水道展23札幌」を開いた。東京以北で初開催となる今回は約300社・団体がブースを出展し、4日間で延べ3万人以上が来場した。全国の地方公共団体が抱える課題の解決につながる最新技術・機器等の情報を提供する展示・セミナーなど様々な企画とともに、一般市民に下水道への理解を深めてもらうため、その役割をわかりやすく紹介するパブリックゾーンも設けてPRを行った。

 

袋セメント

袋セメントは、主に小口需要に対応した建材商品として販売され、ほぼ都道府県単位に組織された各地の卸協同組合の共同購買または共販事業が支えとなり、市況はおおむね安定した推移を辿っている。袋セメント業界は建設工事現場への納入のバラ化や小口工事の生コン化、工期短縮や省力化・省人化に伴うプレキャスト化が進むなど、工法の変化に伴って袋需要は恒常的に減少が続く。一部地区では安値で取引される私製袋が流通し、市況面への影響が出ている。県によっては独自のオリジナル袋を製作しPRを図ることで、私製袋との差別化による販売量の確保に努めている。一方、セメントの2度にわたる大幅値上げを受けて、各地区卸協組はコストアップ分の価格転嫁に取り組んでいる。本特集は袋セメントを取り巻く現状を取材し、今後を展望するため企画した。

 

東海地区

愛知、静岡、岐阜、三重4県で構成する東海地区の2023年度第1四半期の生コン出荷量(全生連集計、員外社推計含む)は前年同期比1・3%減の217万㎥となり、県別では岐阜は増加、愛知は横ばい、静岡や三重は減少した。地区全体として公共工事の減少を市街地再開発や高速道路網の整備に伴う郊外の物流施設や工場の建設が補っており、リニア中央新幹線工事も本格化しつつある。一方、原材料費高騰、輸送費や人件費上昇などコストアップ要因は多く、各県の協同組合は市況対策を講じるとともに、工業組合も組合機能を発揮して生コン業界の諸課題の解決を目指している。名古屋生コンクリート協同組合(36社39工場)の内田昌勝理事長(愛知県生コンクリート工業組合理事長、全生連東海地区本部長)に方針を聞くとともに各県の工組や協組、コンクリート製品会社、骨材やセメント卸など関連団体を取り上げる。

 

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[2023.8.7]

 

太平洋セメントなど7社協働しCCS事業

太平洋セメントなど7社は2日、共同提案した「日本海側東北地方CCS事業」構想がエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の2023年度の公募事業である「先進的CCS事業(二酸化炭素の分離回収・輸送・貯留)の実施に係る調査」に採択されたと発表した。 共同提案した7社は太平洋セメントのほか伊藤忠商事、日本製鉄、三菱重工業、伊藤忠石油開発、INPEX、大成建設。同調査はCCS事業の普及と拡大に向けた支援を目的とし、CO2回収源のクラスター化やCO2貯留地域のハブ化による事業の大規模化とコストの削減に取り組むような「先進的CCS事業」に関し、CO2の分離回収・輸送・貯留に係る調査を実施する。今後7社で同調査を通じて協働し、日本におけるCCSの早期社会実装並びに持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでいく。

 

千葉砂が秋口に値上げ、最大トン1500円

首都圏に細骨材を供給する千葉県の生産業者、販売店、輸送業者は需要家である生コンメーカーに対し値上げ要求を強めている。生産・輸送コストの急激な値上がりが背景にある。運転手の廃業による今後の供給力不足が懸念されている。

 

箱型擁壁協会が30周年記念総会開く

箱型擁壁協会(村瀬大一郎会長)は7月21日、大阪市内で2023年度第30回記念総会を開き、22年度事業報告や23年度事業計画案など5議案を審議、すべて原案通り承認した。任期満了に伴う役員改選が行われ、村瀬会長が重任した。村瀬会長は「協会創立30周年を迎えることができたのは関係各位のおかげであり、会員各社の奮闘努力に深く感謝するとともに、協会の基礎をつくった先輩諸氏の努力に対して敬服の念を抱いている。箱型擁壁という製品の素晴らしさを再認識し、未来につなげていきたい」と語った。

 

廃棄物・副産物リサイクル

セメント業界における廃棄物・副産物使用量は近年、年間2700万㌧前後で推移している。セメント1トン当たりの使用量は2004年度以降、22年度まで19年連続で400㌔㌘を上回り、22年度は480㌔㌘を超えた。外部環境の変化をはじめ様々な制約に直面しながらも、技術開発や受け入れ設備の拡充、収集体制の強化を図ることにより高い利用量を維持している。セメント工場は2011年の東日本大震災以降、災害廃棄物処理に協力しており、16年に発生した熊本地震や17年の九州北部豪雨、18年の西日本豪雨、19年の令和元年台風19号、20年の令和二年7月豪雨でも各地のセメント工場が同様に取り組みを行っている。近年、自然災害が激甚化するなかで、災害廃棄物処理においてセメント業界が果たす社会的役割はより一層大きくなっており、環境省や各自治体も期待を寄せている。今後発生が危惧される広域巨大地震などの災害にも、セメント工場の復旧・復興面での貢献が期待される。セメント各社は各自治体と循環型社会の形成の推進や災害廃棄物の処理等に関する協定を積極的に締結するとともに、他産業で処理が困難な廃棄物の受け入れに関しても研究・技術開発、設備投資を鋭意進めている。本特集ではセメント協会の「セメントハンドブック2023年度版」を参考に、セメント業界の廃棄物・副産物、災害廃棄物のセメント資源化に向けた最新の取り組みや産業副産物の生コン・コンクリート製品への活用事例を紹介する。

 

 

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[2023.7.31]

 

4~6月のセメント国内販売は6・5%減

6月のセメント国内販売は前年同月比8・7%減の304万4千㌧で、10カ月連続の減少となった。セメント協会の集計。7月は25日現在で1日当たり3・7%減となっている。4~6月国内販売累計は前年同期比6・5%減の857万5千㌧となった。内需は2019年度から低調が続いており、20年度以降は新型コロナウイルスの直接・間接的な影響に伴う着工の延期や計画の見直し、民間設備投資意欲の低下に加え、近年激甚化する豪雨等の天候不順も響いている。17年度以降は内需に占める官民比率が逆転し、全体に占める民需の割合が高くなり官需の落ち込みが目立つ。内需は19~22年度まで4年連続で減少し、23年度第1四半期も回復の兆しが見えない。

 

第1四半期の全国生コン出荷、最低を更新

2023年度第1四半期(4~6月)の全国生コン出荷量(全生連調べ、員外社出荷推計含む)は1735万7千㎥で、過去最低だった前年同期をさらに5・0%下回った。5年連続のマイナス。官民別では、官公需が533万5千㎥で8・8%減、6年連続のマイナス。民需は3・1%減の1202万2千㎥で3年ぶりにマイナスに転じた。全国的に、現場の職人不足やこれに起因する工事の遅れ・延期などが響き、荷動きに勢いがない状況が続いている。また、需要低迷が長期化する背景には諸資材高騰の影響があると指摘する声もある。諸資材の値上がりを受け、各現場において設計の一部見直しなどが発生しやすくなっており、工事スケジュールを遅らせる要因になっているという。さらに、慢性的な設計者不足が民需・官需の動きを鈍らせているとの声もあり、出荷低迷は当面解消しそうにない。

 

全国PCa創造開発交流会が脱炭素化・DXなど議論

全国PCa創造開発交流会(高田浩平会長)は13日、第8回地区別交流会(東京会場)を開いた。東京・名古屋・福岡の3会場に分かれて地区ごとに情報交換を行うもので、①脱炭素化②デジタルトランスフォーメーション(DX)③i-Construction(iコン)④経営――の4テーマについて事前に会員会社を対象に行ったアンケート調査結果に基づき討論し、活発に意見を交換した。

 

PC建協

プレストレスト・コンクリート建設業協会(PC建協、森拓也会長)の2022年度の会員受注額は21年度に比べて3%減の4186億円となり、8期連続で3000億円を上回り、2期連続の4000億円超となった。高速道路の大規模更新事業などをはじめ、老朽化した橋梁の補修・補強事業などPC技術の役割は重要性を増している。PC建協はこのほど新たなビジョン「Vision2023(ニーゼロニーサン) 進化する技術と社会への貢献 PC建協の未来地図」を策定。ICTの活用によるDXへの取り組みやプレキャスト技術を活用した脱炭素化への対応など新たな課題に向けた取り組み方針などを記載しており、同協会の活動への認知を高めるとともに、PC事業に携わる人にとって目指すべき方向を示している。本特集では、新ビジョンの紹介や業務報告会などPC建協の活動、PC各社の最新技術などを紹介し、将来を展望する。

 

四国地区

四国地区の2022年度生コン出荷実績(全生連集計、員外社推計含む)は、前年度比8・2%減の289万8千㎥となった。高松地区における再開発など大型物件への出荷があった香川県はプラスになったものの、他の3県は民需の低迷などの影響を受け前年割れとなった。セメントの大幅値上げをはじめ原材料などのコストアップが相次いでいることを受け、各県の協組では生コン再値上げの動きが加速している。全生連四国地区本部、各県工組、主要協組の取り組みを紹介する。

 

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[2023.7.24]

 

セメント業界の22年度廃棄物等原単位は485㎏

2022年度のセメント業界における廃棄物・副産物使用量は、前年度比5・4%減の2487万8千㌧と2年ぶりに前年度を下回った。セメント協会の集計。とくに使用量の多い石炭灰と高炉スラグは、ともに前年度使用量を下回った。エコセメントを除くセメント生産量(輸出用クリンカ含む)は7・6%減の5133万9千㌧で、これをベースとするセメント1トン当たりの使用量(廃棄物等原単位)は485㌔㌘で、21年度473㌔㌘から12㌔㌘増加し、13年度(486㌔㌘)に次ぐ高水準だ。04年度から19年連続で400㌔㌘を上回るとともに、2年連続で前年度を上回った。セメント各社は引き続き熱エネルギー代替として廃プラスチックを中心に再生油、廃油などの受け入れ拡大に注力するとともに、処理能力を高めるための設備の増設・増強を図っている。

 

生コン市況、中心地区3割で上昇

多くの生コン協組が2022年以降の二次値上げに取り組んでいるなか、6月上旬調べの『建設物価』(7月号)では全国的に表示の上伸がみられた。とくに各県の中心地区の上方修正が目立っており、関東二区では5県のうち4県、四国では4県のうち2県で県庁所在地の表示が上がった。同号で上げ表示となった県庁所在地は14に上り、全国の3割を占める。一方で、コストアップの価格転嫁に手間取っている地区もみられ、その多くが県庁所在地だ。生コン業界全体ではコストアップの価格転嫁が歴史的なスピードで進む半面、地区による価格格差も大きくなっている。

 

PC建協、PC建築技術講習会開く

プレストレスト・コンクリート建設業協会(PC建協、森拓也会長)は14日、都内で「第30回プレストレストコンクリート建築技術講習会」を開いた。プレストレストコンクリート(PC)建築技術の普及、発展のために開催しているもので、昨年に引き続き、対面形式とオンライン配信の併用で開催。今回は開催翌日から7日間、オンデマンド形式での録画配信も行っている。設計者がPC建築技術を活用した3件の事例についてコンセプトや構造設計の概要などを解説するとともに、東京工業大学の竹内徹教授が「E‐アイソレーション:日本初の実大動的免震・制震部材実験施設の建設『水平移動可能なPCアンカーが実現した新しい反力計測システム』」と題して特別講演を行った。

 

北陸地区

全生連北陸地区(三友泰彦地区本部長)の2022年度生コン出荷実績(員外社推計含む)は、前年度比9・7%減の306万1千㎥で4県すべてが前年割れとなった。北陸新幹線延伸工事の特需はすでにほぼ終息しており、自治体発注の公共工事は長期に渡って低迷、コロナ禍で民間工事の着工にも遅れが生じたことなどが影響した。需要が減少する一方、原材料価格や輸送費は急騰しており、各県主要協組はコスト増の価格転嫁を図るべく昨年度から複数回生コンの値上げを行っているが、表示価格への満額反映を達成した組合は少なく、改定価格の早期浸透が急務となっている。本特集では同地区の生コン組合をはじめ、セメント卸、骨材、製品などの動向を紹介する。

 

 

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[2023.7.17]

 

セメントタンカーは1隻増の119隻

国内セメント業界が保有するセメント専用船(タンカー)は4月1日現在、119隻で前年同期から1隻増えた。セメント協会がこのほど発行した『セメントハンドブック2023年度版』で明らかとなった。ここ10年ほどのセメントタンカー船の保有隻数の推移をみると、13年から15年同期まで3年連続で増加したが、16~18年は3年連続で減少。19年は4年ぶりに増え20年は変わらず、21年と22年は2年連続で減少した。23年は4年ぶりの増加となる。総積載量は52万7千㌧で前年同期に比べ0・4%増加したが、ピーク時の7割強の水準だ。セメント各社は近年、老朽化した船舶の廃船および新造船建設を進めながら、船舶の各種能力アップに向けた改良を図るとともに、世界的に脱炭素化の流れが加速するなか省エネ・省CO2に向けて環境性能を高めている。

 

JCI九州大会生コンセミナー開く

5~7日に福岡県福岡市で開催された日本コンクリート工学会年次大会2023(九州)の初日、第30回生コンセミナーが「サスティナブルな生コンを目指して」をテーマに開かれた。九州内の生コン工場を対象に行ったアンケートやヒアリング調査をもとに、クレームや環境への取り組みの実態を分析。持続可能な生コンを目指すための課題について座談会を行った。パネリストは鶴田達哉氏(麻生田川コンクリート工業)、原田克己氏(福岡県生コンクリート工業組合)、小山智幸九州大学准教授、崎原康平琉球大学准教授、大谷俊浩大分大学教授の5人。司会は櫨原弘貴福岡大学准教授が務めた。

 

CV研究会、即脱製品共同で研究開発

CV研究会(壽上隆司会長)は、チヨダマシナリーの大型コンクリートブロック成形機「CV‐10」または同等機による即時脱型方式のコンクリート製品の研究開発を行い、普及に取り組んでいる。これまでに連結ヒンジ型ブロック「cv絆」やハーフPC根固ブロック「cv護」などを開発しており、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」に登録されるなど、製品の評価とともに実績も着実に積み重ねている。同研究会の活動を紹介する。

 

コンクリート舗装

コンクリート舗装は、ライフサイクルコスト低減や維持管理の観点から優位性が評価されている。政府による国土強靭化政策のもと道路の新設や維持・更新が図られるなかで、コンクリート舗装の活用の機会が広がっている。今回、コンクリート舗装研究の第一人者である小梁川雅東京農業大学名誉教授にコンクリート舗装の現状や今後の展開を聞いた。また代表的な工法であるスリップフォーム工法の普及拡大を図る日本スリップフォーム工法協会の今年度の活動方針を紹介するとともに、北海道太平洋生コンが取り組む「5DAY PAVE」についてご寄稿いただいた。

 

 

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[2023.7.10]

 

22年度セメント系固化材需要は2・6%減の763万㌧

セメント協会はこのほど、2022年度のセメント系固化材需要を集計、前年度比2・6%減の763万3千㌧で、2年ぶりのマイナスとなった。12~16年度までは700万㌧台で推移し、17年度に初めて800万㌧を超え、高炉セメントの販売量を上回った。18年度は845万4千㌧とさらに伸長。19年度は4年ぶりに前年度を下回ったが790万㌧を超え、20~21年度も700万㌧台後半の高水準を維持した。22年度の六価クロム溶出抑制型の特殊土用は553万4千㌧で3・9%増加し、7年連続で500万㌧を超えた。構成比は全体の72・5%を占め、前年度比4・5ポイント上昇。最近は建築基礎としての利用も増加している。成熟期に入りつつあるが潜在需要が期待できる分野もあり、セ協は新規需要開拓先として河川堤防の強化対策をターゲットに定め調査・研究を進めている。

 

関東一区の6月生コン需要は6協組が2ケタ増加

関東一区の主要生コン10協組の6月の出荷実績がこのほど出揃った。前年同月に比べて三多摩、湘南、玉川、東関東、千葉西部、埼玉中央の6協組が増加し、6協組とも二ケタのプラスだった。半面、マイナスの3協組はいずれも二ケタ減と明暗が大きく分かれる形となった。千葉北部は前年同月比横ばいだった。埼玉中央を除く各都県の中心地区の低調が目立っている。10協組合計では82万㎥で前年同月比横ばい。

 

會澤高圧コンクリートの福島RDMセンター完成

會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市、會澤祥弘社長)が建設を進めていた次世代中核施設「福島RDMセンター」が完成し、6月29日に竣功祭を執り行い、30日には開業式典「グランド・オープニング『結(ゆい)』」を開催した。建設用3Dプリンタやドローン、デジタルクローン建築など研究開発棟の各棟で、同社開発の技術が紹介されたほか、生産棟ではAIによる自律的なスランプ管理システムを展示。また、自己治癒コンクリートや蓄電コンクリートなど海外の最新情報や国内外から様々なゲストを招いてのセミナー・シンポジウムなどが行われた。

 

會澤高圧コンクリート福島RDMセンター開業

會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市、會澤祥弘社長)は福島県浪江町に次世代中核施設「福島RDMセンター」を建設し、6月30日に開業式典「グランド・オープニング『結』」を行った。前日の29日にはaNET ZEROイニシアティブの協定調印式が行われ、協定締結社は會澤高圧コンクリートを含めプレキャストコンクリート(PCa)製品メーカー47社となり、生コンクリートプラントも65プラントが協定を結んでいる。本特集では會澤社長にRDMセンターの狙いやaNET ZEROイニシアティブの今後の活動などについて伺うとともに、グランド・オープニング『結』の模様やaNET ZEROイニシアティブ第3回経営者会議などを紹介する。

 

 

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[2023.7.3]

 

全生連新会長に東京工組・斎藤氏

全国生コンクリート工業組合連合会と同協同組合連合会は6月23日、それぞれ都内で2023年度の通常総会を開催し、任期満了に伴って新役員を選出した。総会終了後の臨時役員会において、両連合会とも新会長に斎藤昇一東京都生コンクリート工業組合理事長・東京地区生コンクリート協同組合理事を新会長に選任した。副会長には成田眞一氏、味岡和國氏を重任。両連合会の会長を3期6年務めた吉野友康氏は、両連合会の理事相談役に就任した。

 

5月の全国生コン需要、民需に失速の気配

5月の全国生コンクリート出荷量は547万4千㎥で、前年同月比0・3%減となった(全生連調べ、員外社推計分含む)。9カ月連続のマイナス。標準稼働日数は前年同月より1日多かったので、実質的なマイナス幅は5%程度になるとみられる。官公需は167万㎥で4・5%減と、26カ月連続のマイナス。民需は380万3千㎥で1・6%増と、プラスに転じた。官公需と民需の構成比は30・5対69・5。民需が生コン需要を牽引する一方で、官公需が低迷する構図が続いている。民需の構成比は2カ月続けて69%台で推移しており、ピーク時には全体の過半数を占めていた官公需が30%を割り込む状況も現実味を帯びてきてきた。

 

日コンと出光興産が合成炭カル協業で合意

日本コンクリート工業と出光興産は6月15日、コンクリート廃棄物を利用したCO2再資源化技術により生成される合成炭酸カルシウム(合成炭カル)の製造・販売事業に関し、両社で協力を進めることで基本合意を締結したと発表した。ボイラー排ガス中のCO2とコンクリート廃棄物に含まれるカルシウムを反応させて製造した合成炭カルを、アスファルト混合物等のフィラー(混和剤/微粉末充てん剤)として用いることで、道路舗装等へのCO2固定化を実現するとともに廃棄物の有効活用・資源循環に貢献する。日本コンクリート工業の100%子会社であるNC西日本パイル製造滋賀工場内でパイロットプラントを稼働させた後、量産化に向けて順次設備を立ち上げ、2024年度内の商業化を目指す考えだ。

 

JCI年次大会2023九州

日本コンクリート工学会(JCI)は7月5~7日、「コンクリート工学年次大会2023(九州)」(JCI九州大会)を福岡市の福岡国際会議場にて開催する。大会キャッチコピーは「人をつなぐ・未来をつなぐコンクリート」。今大会では「第45回コンクリート工学講演会」「コンクリートテクノプラザ2023」をはじめ、恒例の「生コンセミナー」「コンクリート構造物診断セミナー」「特別講演会」のほか、「キング・オブ・コンクリート」、熊本地震復興現場等の見学会や懇親会が開催される予定だ。本特集では、大会実行委員会の濵田秀則委員長(九州大学教授)にJCI九州大会のポイントを解説していただくとともに、第45回コンクリート工学講演会、生コンセミナー、コンクリート構造物診断セミナーなどの見所を紹介する。また、コンクリートテクノプラザに出展される新技術・新工法、各種機器の紹介を通じてコンクリート技術の最新動向をまとめる。

 

徳島県生コンクリート工業組合創立50周年式典

徳島県生コンクリート工業組合(徳島市川内町、山内勝英理事長)は6月16日、徳島市内のホテルで23年度総会を行い、すべての議案を審議、原案通り承認、任期満了に伴う役員改選では山内理事長を重任した。総会後には創立50周年記念式典を開催、約80人が参加した。同工組は1973年11月、27社で発足した。当時、県内には未加入工場も含め70工場が稼働しており、出荷量は228万1千㎥だった。出荷のピークは78年で287万1千㎥。近年では減少を続け、昨年度は54万3千㎥まで減少している。この間、同工組は構造改善事業、品質管理監査会議、「コンクリート甲子園」への支援などの事業を積極的に行ってきた。2017年に発足した青年部(和仁孝成部長)は、次世代の若手経営者、幹部候補で組織され、経営研修会や技術セミナーを開催するほか、業界のイメージアップに努めている。また、昨年6月には女性部(金田知奈美部長)も設立し、女性の連携を深め、働きやすい環境づくりや次世代へのPRを推進している。

 

 

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